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iOSアプリの開発環境構築・テスト配布方法

1. はじめに

iOSアプリを開発・配布するためにはmacOSを搭載したPC(以下MacPC)と専用の開発環境が必要です。
今回は開発環境の構築方法と、開発したiOSアプリのテスト配布方法をご紹介します。

1-1.使用環境

今回の作業は、以下のスペックのMacPCで実施しました。


2. 開発環境構築

今回の作業を実施するにあたり、MacPCのユーザーアカウントへのログインができなくなったため、データの初期化から作業を始めています。
そのため、次項にてデータの初期化とmacOSのインストール方法もあわせてご紹介します。
ユーザーアカウントへログインできる方は、「2-2.Xcodeのインストール」からお読みください。

2-1.データの初期化とmacOSのインストール

データの初期化からmacOSのインストールまでの手順です。
(ユーティリティウインドウではスクリーンショットが撮影できないため、画像がありません。ご容赦ください。)

  1. 「command + R」を押しながら、macの電源を入れます。
  2. OS X ユーティリティ」画面で、「ディスクユーティリティ」をクリックします。
  3. 消去する「HDD」を選択し、消去をクリックします。
  4. 「"(HDD名)"を消去しますか?」のダイアログが出たら、消去をクリックします。
  5. 「ディスクユーティリティ」タブをクリックし、「ディスク ユーティリティを終了」をクリックします。
  6. データの初期化が完了します。
  7. 続いて、macOSをインストールします。 「OS X ユーティリティ」画面で、「OS Xを再インストール」をクリックします。
  8. インストールウィザードで「続ける」、「同意する」をクリックしていきMacが再起動したら、macOSのインストールは完了です。

2-2.Xcodeのインストール

  1. Macのデスクトップ画面が表示されたら、虫眼鏡マークをクリックし、「Spotlight」を開きます。 手順1

  2. 「Spotlight」で「App Store」と検索します。 手順2

  3. App Store」で「xcode」と検索します。 手順3

  4. Xcode」のダウンロード画面で、「インストール」をクリックします。
    ここで「購入処理を完了できませんでした」と表示が出た場合は、macOSのバージョンがXcodeのインストール要件を満たしているか確認します。
    インストールが完了した方は、10の手順をお試しください。 手順4

  5. デスクトップにてアップルメニューをクリックし、このMacについてをクリックします。 手順5

  6. OSのバージョンが、Xcodeのインストール要件を満たしているか確認します。 手順6

  7. 満たしていなかった場合は最新のmacOSをインストールします。 「App Store」で「os」と検索します。 手順7

  8. macOSのダウンロード画面で、「ダウンロード」をクリックします。 手順8

  9. ダウンロード後インストールウィザードが表示されたら、「続ける」、「同意する」をクリックしていき、MacPCが再起動したらmacOSのインストールは完了です。
    再度1~4の手順をお試し下さい。 手順9

  10. Xcode」のインストールが完了したら、「開く」をクリックします。 手順10

  11. Xcode and iOS SDK License Agreement」が表示されたら、「Agree」をクリックします。 手順11

  12. 「Welcome to Xcode」が表示されたら開発環境構築は完了です。 手順12


3. iOSアプリのテスト配布

Xcodeで開発したiOSアプリをテスト配布するには、Apple Developer ProgramとXcodeでの作業が必要です。
今回は社内配布を想定して「Adhoc」という方法で配布します。
まず、Apple Developer Programでの作業から順番にご紹介します。

3-1.Apple Developer Programでの確認

iOSアプリをテスト配布するためには、Apple Developer Programのアカウント作成(有料)が必要です。
アカウント作成にはApple IDが必要です。
今回は、Apple Developer Programアカウントを作成し終えた前提で手順をご紹介します。

  1. Apple Developer Program」へアクセスします。

  2. 「Certificates, IDs & Profiles」で、アプリ開発者を証明する「Certificates」、アプリ開発機にするiPhoneiPad等の「Devices」、それらの情報をまとめた設定ファイルである「Provisioning Profiles」を作成・確認ができます。
    まずは「Certificates, IDs & Profiles」にアクセスするための権限があるかを確認するため、「People」をクリックします。 手順2

  3. 「Go to App Store Connect」をクリックします。 手順3

  4. App Store Connect」で「役割」が「Account Holder」または「Admin」であることを確認します。
    「Account Holder」または「Admin」でない場合は、既に当該の役割が付与されているチームメンバーに役割設定を依頼しましょう。 手順4

  5. Account Holder」または「Admin」であることが確認できたら、「Apple Developer Program」へ戻り、「Certificates, IDs & Profiles」をクリックします。
    ここでXcodeでの作業に移ります。

3-2.Xcodeでの開発者証明書発行とアプリ配布準備

Xcodeで開発者登録と開発者証明書(Certificates)の発行、アプリ配布の準備を行います。

  1. Xcodeのプロジェクトを開き、「Xcode」メニューの「Preferences」をクリックします。 手順1

  2. 「Accounts」タブから、「+」をクリックして「Apple ID」で開発者登録します。 手順2

  3. 「Certificates」発行のため、「Manage Certificates」をクリックし、「+」をクリックして「iOS Distribution」をクリック、その後「Done」をクリックします。
    補足となりますが、今回は「Adhoc」という配布方法のため「iOS Distribution」証明書を使用しています。
    「Adhoc」を含む配布方法の詳細についてはこちらでご確認ください。 手順3

  4. 「TARGETS」の「General」タブをクリックし、Signingから「Automatically manage signing」にチェック、その後「Team」から適切なTeamを選択します(例:社内配布であれば会社のTeamを選択)。
    補足となりますが、「Automatically manage signing」は、前述した「Certificates」と「Provisioning Profiles」の自動更新と、アプリを識別するIDである「App ID」を自動で設定します。 手順4

  5. アプリを配布するために、「Generic iOS Device」をクリックします(「Generic iOS Device」に設定しないと配布できません)。
    これでアプリ配布準備は完了です。
    ここでApple Developer Programでの作業に移ります。 手順5

3-3.Apple Developer Programでのアプリ開発機と設定ファイル登録

Apple Developer Programでアプリ開発機(Devices)と設定ファイル(Provisioning Profiles)を登録します。

  1. 「Certificates, IDs & Profiles」をクリックします。 手順1

  2. 「Certificates」で「iOS Distribution」の証明書が発行されていることを確認します。 手順2

  3. 「Devices」で「+」をクリックし、アプリ開発機を登録します。
    登録には任意の「Name」と、「Identifier」(UDID)が必要です。
    UDIDの確認方法は、こちらでご確認ください。 手順3

  4. 「Provisioning Profiles」で「+」をクリックし、設定ファイルを作成します。
    今回の配布方法である「Ad Hoc」を選択し、「Continue」をクリックします。
    その後の画面でも、「App ID」、「Certificates」、「Device」、「Profile Name」を入力しつつ「Continue」をクリックしていきます。 手順4-1

    手順4-2 これでApple Developer Program上の作業は完了です。
    最後に、XcodeからIPAファイル(iOSアプリのアーカイブファイル)を書き出します。

3-4.XcodeでのIPAファイル書き出し

IPAファイルを書き出していきます。今回はデフォルトの設定で書き出します。

  1. Xcodeにて、「Product」タブをクリックし、「Archive」をクリックします。 手順1

  2. ウインドウが表示されたら(しばらく時間がかかります)、「Distribute App」をクリックします。 手順2

  3. Ad Hoc」を選択し、「Next」をクリックします。 手順3

  4. Ad Hoc distribution options」では、「Next」をクリックします。 手順4 補足:

    • App Thinning:アプリを自動で最適化して配信する仕組みです。
    • Rebuild from bitcode:コンパイラが新しくなった場合でも、自動で最適化する仕組みです。初期状態でチェックが入っています。
    • Strip Swift symbols:アプリサイズを最適化する仕組みです。初期状態でチェックが入っています。
    • Include manifest for over-the-air installation:OTA配信のためのmanifestファイルを作成することができます。

  5. 「Automatically manage signing」をクリックします。 手順5

  6. 「Export」をクリックし、デスクトップ等の任意の場所にIPAファイルを書き出します。 手順6

3-5.アプリのテスト配布

  1. アプリをテスト配布します。今回は、「diawi」という配布サービスを利用します。
    アカウントは作成し終えた前提で手順を紹介します。
    まず、「Apps」タブをクリックします。 手順1

  2. 「Upload an app」をクリックします。 手順2

  3. 「Drag&drop files here」へIPAファイルをドロップし、Sendをクリックします。 手順3

この後、アップロード先URLを配布先へ連絡することで、アプリ配布は完了です。
ここまでお疲れ様でした!


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